カタルーニャ語という言語を聞いたことがありますか?
サッカーやサグラダファミリアで有名なバルセロナを州都とするスペインのカタルーニャ州で公用語とされている言葉です。
本記事ではカタルーニャ語についてご紹介いたします。
目次[非表示]
カタルーニャ州はスペインの北東部に位置しており、フランスおよびアンドラ公国と国境を接しています。
カタルーニャ語は、いわゆるスペイン語(カスティーリャ語)の方言という扱いではなく、スペインのガリシア州におけるガリシア語や、バスク地方におけるバスク語と同じように地方公用語として規定されています。
カタルーニャ州を中心に1000万人ほどの話者がいます。そして、スペインだけでなくアンドラ公国の公用語でもあり、フランスやイタリアの一部でも話されています。
(カタルーニャ語が用いられているエリア)
カタルーニャ語はイタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語などと同様にラテン語に起源を持つロマンス諸語の1つです。
ロマンス諸語はイタリア語やスペイン語などそれぞれが個別の言語として確立していますが、文法や単語等がかなり似ているため、お互いの言語を話していても大体コミュニケーションが成り立つといわれるほどです。
下記の表をご覧ください。スペイン語とカタルーニャ語、フランス語で簡単な表現を比較してみました。
| 日本語
|
スペイン語
|
カタルーニャ語
|
フランス語
|
|
おはよう
|
buenos días |
bon dia |
bonjour |
|
おやすみなさい
|
buenas noches |
bona nit |
bonnuit |
|
さようなら
|
adiós |
adéu |
adieu |
|
どこから来ましたか?
|
¿De dónde es? |
D'on ets? |
D'où venez-vous? |
|
日本から来ました。
|
Soy de Japón. |
Sóc del Japó. |
Je viens du Japon. |
|
英語が話せません。
|
No puedo hablar ingles. |
No sé parlar anglès. |
Je ne peux pas parler anglais. |
細かな違いはありますが、語順ではスペイン語にかなり近しいこと、単語単位でみると、フランス語にも似ている部分があることがわかります。
ではカタルーニャ語の特徴をいくつかご紹介します。
スペイン語の母音は日本語と同じくa/e/i/o/uの5つですが、カタルーニャ語はá, à, é, è, i, ó, ò, uの8つのため、日本人にはやや複雑な発音であると言えるでしょう。
カタルーニャ語では相手に呼びかける時を除いて、名前の前に人称冠詞を置きます。
男性ならば、en、女性の名前や母音で始まる男性の名前にはlaが付くというルールです。
例) en Pablo / la Marta
また所有格(私の~、あなたの~)のまえにも定冠詞を伴います。
例) el meu gat(meu=私の、gat=猫)
カタルーニャ語も多くのロマンス語と同様に単語に女性名詞と男性名詞が存在するため、所有格のあとに続く名詞の女性/男性及び単数複数によって冠詞と所有格が変化をします。
「わたしの」
|
|
カタルーニャ語
|
|
男性単数
|
el meu |
|
女性単数
|
la meva |
|
男性複数
|
els meus |
|
女性複数
|
les meves |
「あなたの」「彼女らの」など他の所有格に関しても名詞の女性/男性及び単数複数にあわせてすべて変化します。こういった定冠詞の使い方はスペイン語には存在しませんし、ロマンス諸語の中でも特徴的な点です。
多くのロマンス語では「行く」を意味する動詞に動詞の不定詞を後置して、近い未来を表現します(英語の表現でいうとbe going to~が類似。スペイン語ではir「行く」 a +動詞不定詞、フランス語ではaller「行く」+動詞不定詞)。しかし、カタルーニャ語ではanar「行く」+動詞の不定詞は過去を表す表現として用いられているのが特徴です。
スペインのサッカークラブFCバルセロナの本拠地カンプノウは世界中のサッカーファンから聖地として注目を集めていますが、カタルーニャ語の歴史からも特別な意味を持ちます。カンプノウ(Camp Nou カタルーニャ語で「新しいスタジアム」の意味)は1957年に完成しましたが、当時はフランコ独裁体制の下で、カタルーニャ州の自治権がはく奪され、カタルーニャ語の公式の場での使用も禁止されていました。民衆の暴動を恐れたフランコ政府が唯一カタルーニャ語の使用を黙認したのが、カンプノウのスタジアム内でした。カタルーニャ人たちはFCバルセロナをカタルーニャ語で応援することでアイデンティティを確認し、そしてカタルーニャ語を存続させることができたと言われています。
その後1975年にフランコ政権が倒れ、カタルーニャ語を公共の場で自由に使用できるようになった後でも、長年にわたりカンプノウはカタルーニャにおけるナショナリズムの象徴であり続けています。
カタルーニャ語に対応している機械翻訳サービスは以下になります。
※2024年11月時点
本ブログではカタルーニャ語の概要、特徴などについてご紹介しました。
スペイン語やフランス語と似ている部分、全く異なる部分があるということがわかり、興味深く感じていただければ幸いです。
川村インターナショナルでは、IT・ローカリゼーション、医療機器・医薬、観光・インバウンド、製造業、金融・ビジネス・法務、SAP 関連文書など、幅広い分野の翻訳を扱っております。お客様の業種・専門分野に応じて最適な翻訳者が対応いたします。弊社の審査基準をクリアした、経験豊富なプロの翻訳者ですので、品質の面でもご安心ください。
翻訳会社への翻訳依頼をご検討されている方は、お気軽にご相談ください。