「製品の取扱説明書を輸出用に翻訳する。」
「海外からの訪日観光客を獲得するために、駅やホテルの案内を翻訳する。」
「外国人にもわかりやすいように、商品のパッケージやパンフレットを翻訳する。」
現在のグローバル社会では、実に様々な場面や用途で翻訳サービスが利用されています。
利用される言語も様々で、ひと昔前まで外国語=英語というのが主流でしたが、今ではありとあらゆる文書が、FIGS(フランス語やイタリア語、ドイツ語、スペイン語)、そして中国語や韓国語、タイ語など、実に様々な国の言語に翻訳されています。
今回の記事では「いざ多言語化するとき、何語に翻訳すればいいのか?」という疑問にお答えするために、世界で最も「有効」な言語を、数値化されたランキングからご紹介します。
目次[非表示]
海外に製品を輸出する際には、対象の仕向地で定められた言語の取扱説明書が必要になりますし、訪日観光客向けの案内やメッセージを翻訳する際には、見込み訪日観光客数などのデータに基づき翻訳言語を定める必要があります。
一般消費財や食品のパッケージの場合は、商品と仕向地の文化的背景も考慮しなければなりません。
しかし、翻訳にかけられる制作期間やコストも限られており、全ての文書やメッセージを世界中の言語に翻訳することはできません。文書の性質や各種法令・法律、そして自社の販売戦略やマーケティング戦略に基づいて、「何をどの言語に翻訳するか」を選別する必要がありますが、これがなかなか難しいのです。
例えば、EUに医療機器を輸出する場合、使用の際の警告文や安全文はその国の現地語で記載する必要があります。2019年5月現在、EUでは24の言語(アイルランド語、イタリア語、エストニア語、オランダ語、ギリシャ語、クロアチア語、スウェーデン語、スペイン語、スロバキア語、スロベニア語、チェコ語、デンマーク語、ドイツ語、ハンガリー語、フィンランド語、フランス語、ブルガリア語、ポーランド語、ポルトガル語、マルタ語、ラトビア語、リトアニア語、ルーマニア語、英語)が公用語として指定されていますが、仮にこの全公用語分の翻訳を用意するとなると、たとえ少量であったとしても頭が痛いですね。
一方で、このように法令で規制されている場合は、むしろ翻訳言語を選定するのは簡単ですが、法令による規制を受けない場合、例えば単純に「自社の製品やサービスを海外のお客様にも知ってほしい。」という場合にはどの言語に翻訳するのが最も効果的なのでしょうか?
2016年に、World Economic Forumから興味深いデータが紹介されているので紹介します。
このデータは、世界で使用される主要言語を以下の5項目毎に数値化・ランキングしたものです。項目毎に算出された点数と、各項目に設定された重み付けを掛け合わせた総合点により、その言語の有効性を評価しています。
(引用元:World Economic Forum "These are the most powerful languages in the world")
*Note
各項目の最も評価が高い点数は1点で、点数が高くなるほど評価は低くなります。
各項目の重み付けは、1~4が22.5%、5のDiplomacyのみが10%となります。
このデータのおもしろいところは、単純に使用人口の多少や公用語採用国の数だけでなく、その言語が有する経済的影響や外交力も交えて評価しているところです。
それでは早速、評価結果を見てみましょう。
世界で最も有効な言語、第1位は英語です。
今や世界の共通言語として幅広く使用されている英語は、Geography、Economy、Communication、Knowledge & Media、Diplomacyの全ての項目で最高評価を獲得しました。
英語に次ぐ世界で有効な言語は中国語(北京語・簡体字)です。
膨大な人口と高い経済力、そして圧倒的な情報量を有する中国語が第二位を獲得しました。
第3位はフランス語。フランス本国以外にアフリカや東南アジアでも幅広く使用されており、地理の面では英語の次に幅広く使用されている言語です。
第4位はスペイン語。スペイン本国以外にアメリカ合衆国南部~南米諸国でも公用語として使用されており、英語、フランス語に次いで幅広く使用されている言語です。
第5位はアラビア語。中東諸国の公用語であるアラビア語は、Knowledge & Media(知識とメディア)の評価は低いものの、Geography(地理)とDiplomacy(外交)が高く評価され第五位を獲得しました。
第6位はロシア語。ロシア本国をはじめ、旧ソビエト連邦国でも使用され、Geography(地理)とDiplomacy(外交)が評価され第六位を獲得しました。
第7位はドイツ語。フランス語やスペイン語ほどではないものの、ベルギーやオーストリアなど欧州諸国で広く使用されているドイツ語は、Economy(経済)およびKnowledge & Media(知識とメディア)の項目が高く評価され、第七位を獲得しました。
第8位は日本語。日本国内でしか使用されないため、Geography(地理)とCommunication(コミュニケーション)の項目については低評価ですが、Economy(経済)、Knowledge & Media(知識とメディア)、そしてDiplomacy(外交)の項目で高い評価を獲得しました。
第9位はポルトガル語。ポルトガル本国とブラジルの公用語であるポルトガル語は、日本語とは反対にEconomy(経済)およびKnowledge & Media(知識とメディア)の評価は低いものの、Geography(地理)の項目で評価され、第九位を獲得しました。
第10位はヒンディ―語。中国に次いで人口が多いインドの公用語であるヒンディー語。Communication(コミュニケーション)とKnowledge & Media(知識とメディア)の項目で高い評価を獲得しました。
英語や中国語、スペイン語のランキングが高いことから、予想通りと言えば予想通りですが、日本語がランクインしているのはちょっと意外ですね。
またBRICS(経済発展新興国)の公用語が全てランクインしているのも非常に興味深いです。
どの言語に翻訳するかお悩みの際には、この"The most powerful languages in the world"(世界有効言語ランキング)を参考にしてみてはいかがでしょうか?
川村インターナショナルは、アジア圏の言語(東アジア・東南アジア)は香港拠点の現地法人が、FIGSをはじめ欧州(全域)の言語は欧州拠点の関係会社が、それぞれ現地拠点として対応していますので得意言語としております。その他対応言語は40言語以上に上り、すべての言語においてプロフェッショナルによる翻訳を提供しています。
上記の言語から、リストに含まれない言語まで、もれなくサポートいたしますので、多言語展開でお悩みの方は、ぜひお問い合わせフォームよりご相談ください。